からすの母の徒然草

我が子の巣立ちは楽しみだけどちょっぴり切ないかな。空の巣症候群には決してならない。これから、我が家の第2ステージのスタート!

時間潰しに何気に購入した本ではあったが...。

 

先日、京都の薪能の席取り順番待ちに読もうと何気なくチョイスした小説がこれ。

角田光代さんの「坂の途中の家」

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折しもWOWWOWの連ドラ放送の最終日が近かったこともあったようで、目立つ所に平積みされており、私自身は何も知らずに手に取り、パラパラ見た箇所が読み易かったという理由で購入した。

500頁の長編だったが、

公演後に宿泊したホテルで、翌日のカフェで、空港までの電車で、そして機内、さらに空港から自宅までのバスで、ほぼ、一気読みしてしまった。

 

内容は、母親による乳幼児虐待事件の裁判に、同じ年頃の子育て中で専業主婦の主人公が裁判員として選ばれてしまい、被告と自分を重ね合わせて苦しみ葛藤する話。

 

と言ってしまえば、単純であるが、そうではない。

表現力の乏しい私はうまく説明できない。

 

でも、子育て経験...もう15〜20年前の私の気持ちが蒸し返されて、胸が締め付けられる。

そんな、苦しい内容なのに読み続けてしまう、そんな本だった。

 

解説者の河合香織さんのコメントが帯に書かれている。

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子育て一段落した今だから少し距離を置いて読める。少しだけ。

 

小説には主人公の親、被告人の親、それぞれの夫の親も登場する。

今の私は、大人になった子を持つ「親」の立場としての恐怖感、子供に対してモラハラをしてしまっているのではないかという不安を覚えてしまったのも、事実であった。

 

そもそも、小説を読んだのが久しぶりで、感受性が想像力が表現力が枯渇してしまいそうになっていることにも気付かされた所であり、時間のできた昨今、過ごし方に読書という事を加えようと強く思った読書体験だった。